2013年11月10日日曜日

毎日新聞「規制委員長 住民聴取拒む」~フクシマの闇、霞ヶ関の闇、国際核マフィアの影

今朝、新聞を開いたとたん、眼に飛び込んできたトップ記事に驚きました――



毎日新聞 20131110
東京電力福島第1原発の事故で避難している住民の帰還に向けて、各省庁の被ばく防護などの政策を評価する原子力規制委員会の有識者会合で実施が決まった住民への聞き取り調査が、事前に撤回されていたことが分かった。避難住民に代え、親しい地元首長らに聞き取りをするよう田中俊一委員長が会合後に事務局に指示していた。透明性、中立性を掲げてきた規制委の運営に反するとして、有識者委員から反発の声が上がっている。……
……政府関係者によると、住民への聞き取りについて知った田中委員長が10月下旬、「帰還などに責任を持って判断できる首長に話を聞くべきだ」として拒否。自らが以前、市政アドバイザーを務めた福島県伊達市の仁志田昇司市長と帰還に積極的な飯舘村の菅野典雄村長の2氏の名を挙げ、事務局に聞き取りを指示した。……

原発事故の被害実態について調査している大阪市立大の除本(よけもと)理史(まさふみ)教授(環境政策論)は「……委員長が会合の場でない“水面下”で口をはさみ、審議の過程で必要とされた調査をしないのは、委員長主導による帰還しか認めない結論ありきの会合で問題だ」と批判……

紙面スキャン画像の右上にある横組み部分を拡大してみましょう――



まず上段の有識者会合メンバーに補足情報を加え、福島県の「県民健康管理調査」検討委員会の現委員名簿と照合してみます――

有識者会合のメンバー
明石(あかし) 真言(まこと)
放射線医学総合研究所理事
福島県「県民健康管理調査」検討委員会委員
春日 文子
国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部長
福島県「県民健康管理調査」検討委員会委員
丹羽(にわ) 太貫(おおつら)
福島県立医大特命教授
放射線影響研究所評議員、ICRP主委員会委員
星 北斗
福島県医師会常任理事
福島県「県民健康管理調査」検討委員会座長
森口 祐一
東京大大学院教授
2011
年まで国立環境研究所・廃棄物研究部門長

平成
25726日現在 
福島県「県民健康管理調査」検討委員会委員 委員名簿
50音順、敬称略


氏 名
所 属
明石(あかし) 真言(まこと)
放射線医学総合研究所 理事
井坂(いさか) (あきら)
双葉郡医師会 顧問(前会長)
稲葉(いなば) (とし)()
広島大学 原爆放射線医科学研究所長・教授
春日(かすが) 文子(ふみこ)
日本学術会議 副会長
児玉(こだま) 和紀(かずのり)
公益財団法人 放射線影響研究所 主席研究員
清水(しみず) 一雄(かずお)
日本医科大学 内分泌・心臓血管・呼吸器外科部門
主任教授 
内分泌外科部長
清水(しみず) 修二(しゅうじ)
福島大学 人文社会学群経済経営学類 教授
(たか)(むら) (のぼる)
長崎大学 原爆後障害医療研究所 
国際保健医療福祉学研究分野 教授
津金(つがね)(しょう)一郎(いちろう)
国立がん研究センター 
がん予防・検診研究センター長
塚原(つかはら) 太郎(たろう)
環境省 環境保健部長
(とこ)(なみ) (しん)()
弘前大学 被ばく医療総合研究所 
     放射線物理学部門 教授
成井(なるい) ()(なえ)
福島県臨床心理士会
東日本大震災対策プロジェクト代表
(ほし) 北斗(ほくと)
社団法人 福島県医師会 常任理事
前原(まえはら) 和平(かずへい)
社団法人 福島県病院協会 会長
(むろ)(つき) (じゅん)
宮城県立こども病院産科部長 
東北大学大学院・胎児医学分野教授

いかがでしょうか?
 

各省庁の被ばく防護などの政策を評価する原子力規制委員会の有識者会合のメンバー5名のうち、3人までが福島県の「県民健康管理調査」検討委員会委員と重なっています。

丹羽太貫氏は検討委員会委員ではありませんが、原子力規制委員会の資料「帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チームについて(案)」(平成 25 8 28 日)によれば、肩書が「福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター国際連携部門特命教授、京都大学名誉教授」となっていますので、「県民健康管理調査」の実施機関に直属しているわけです。「国際連携部門特命教授」の肩書は、氏が国際放射線防護委員会(ICRP)の主委員会委員を務めていることを考えると納得できます。

ちなみに、首相官邸の災害対策におけるICRPの位置づけを知るには、このページ「放射線から人を守る国際基準~国際放射線防護委員会(ICRP)の防護体系」をお読みになるのが、手っ取り早いです。

最後に、下段の「評価中の主な被ばく防護策」を見てみましょう――

評価中の主な被ばく防護策
帰還住民を対象にした被ばく線量把握事業(環境省)
避難指示区域などの除染事業(同)
帰還・再生加速化事業(復興庁)
環境放射線モニタリング推進事業(原子力規制庁)

環境省は石原伸晃環境大臣のもと、全国的にはガレキ拡散、福島県内では高レベル放射性廃棄物の焼却減容化処理政策で、放射能拡散・環境破壊省と揶揄されるしまつ。復興庁は、福島2区選出の根本匠復興大臣のもと、例のツイッター暴言政務官や原発事故子ども被災者支援法の骨抜きで名を馳せているのはご存知のとおりですね。 

原子力規制委員会のご御大、田中俊一委員長は、もちろん低線量被曝安全論者です。一例として、“ETHOS IN FUKUSHIMA”(フクシマのエートス)サイトをチェックしてみましょう――

2012321日水曜日
Syun-ichi Tanaka (Radiation Safety Forum)


毎日新聞、日野行介記者の深層ルポ『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』(岩波新書)がベストセラーになっています。福島県内の被曝地が闇に包まれているとすれば、原子力規制委員会や各省庁も闇のなかなのでしょうhttp://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=yuima21c-22&l=as2&o=9&a=4004314429。そして、大きな影を落としているのは、いうまでもなく、ICRPIAEAなど、国際原子力マフィアなのでしょう。



【内容紹介】
未曾有の原発事故により放出された大量の放射能。住民の健康への影響を調べる福島県の調査の裏で、専門家、行政担当者たちは一体、何をしていたのか。秘密裏に会議を繰り返し、事前に調査結果に対する評価をすりあわせ、議事録までも改竄――。一人の記者が、闇 に立ち向かい、調査報道でその実態を明らかにする。



【姉妹記事】

「20mSv、健康影響なし」…田中正造翁も怒り心頭!



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