2015年4月17日金曜日

南相馬市立総合病院に脳卒中センター建設へ…発症原因は「長期間の避難生活」?








南相馬に脳卒中センター建設へ

南相馬市にある市立総合病院に脳血管疾患に迅速に対応するための「脳卒中センター」が建設されることになり、16日、関係者が建設予定地で工事の安全を祈願しました。
「南相馬市立総合病院」は、相双地域の医療の拠点となっている病院の1つで、震災と原発事故後、長引く避難生活によるストレスなどが原因と見られる脳血管疾患の患者が増えていることから、迅速に対応するために「脳卒中センター」を整備する計画です。…
建設される脳卒中センターは、総工費48億円、地上6階建てで、延べ床面積はおよそ9200平方メートル、あわせて100床ある脳神経外科とリハビリテーションの2つの病棟が設けられるほか、屋上には救急搬送や災害時にも対応できるようヘリポートも整備される計画です。
浜通り北部には脳血管疾患の患者に対応できるこうした大規模な施設はなく、病院側は、地域全体の医療を担う場所にしたいとしています。…
0416日 2114


【参考人】南相馬市立総合病院副院長、広島大学客員教授:及川友好君
○及川参考人 私自身は脳神経外科医でありますので、脳卒中の発症率を、東京大学の国際保健政策学教室と一緒になって今データを集めているところなんですが、これはまだ暫定的なデータで、確定的なものではないんですが、ただし、恐ろしいデータが出ています。我々の地域で脳卒中発症率が、六十五歳以上で約一・四倍、それどころか、三十五歳から六十四歳の壮年層で三・四倍まで上がっています。こういう非常に恐ろしいデータが今出てきていますね。これらのデータをきちんと解析しながら発表していくのも我々の仕事だと思っているんです。
○柿沢未途委員 及川副院長に。先ほど、脳卒中が五十代、六十代は一・四倍、三十代で三・四倍、これはやはりちょっと衝撃的な数字だと思うんです。ストレスがあったり、さまざまなこれまでの生活の困難が影響しているのかもしれませんし、また、場合によっては放射線がもたらす何らかの影響があるのかもしれません

 そういう意味で、この状況を、もちろん学問的に分析はまだ十分できているのかどうかわかりませんけれども、どういうふうに背景を見ておられるか。このことについて御見解を伺って、一つずつお答えいただいて終わりにしたいと思います。
○及川参考人 及川でございます。

 まず最初に、正確なところを、先ほどの柿沢先生のお話はちょっと違いますので。

 六十五歳以上の高齢者において脳卒中発症率が一・六二倍、三十五歳から六十四歳までの壮年者で三・四三倍、震災前と比べて発症率が上がっております。

 これは、レセプトデータといいまして、病院を訪れた人たちのレセプトデータから拾い上げた数字です。補正をかけなければいけませんから、これが最終的なデータではありませんが、実際に臨床、医療をしておりますと、確かに、脳卒中の患者さんが多くなったというような印象を受けております。後日、きちんとしたデータを出したいと思います。

 二つ目の御質問ですが、これらに対する原因は何だということなんですが、脳卒中の発症率の基本的な考え方は、基礎疾患がございます。高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満、喫煙、アルコール、こういうものが脳卒中を有意に発症させる原因となっております。とすれば、我々の地域においてこれらのことが有意に悪化しているということが予測されます。

 これはまだデータは持っておりません、今後検討の課題でございますが、例えば、薬、服薬がきちんとできなくなって高血圧が悪化する。食生活の変化によって糖尿病や高脂血症の症状が悪化する。避難所または仮設住宅に入っていることによって、アルコール、つまりアルコール中毒ですね、依存症の患者さんがふえる。そういう方たちが、むしろ若年層ですね、壮年層、三十五歳から六十四歳の働き盛りの年齢層に起こっているのではないかということが十分に示唆されるデータだと思います。



 南相馬市立総含病院 脳卒中センター建設基本計画(要約版)pdf
基本理念
脳卒中の診療と研究を通して、最善の予防、診断及び治療の方法を確立して 地域住民の健康福祉の増進に寄与するとともに、医学の向上に貢献する。人道を尊び、地域の方とともに良質な医療を目指す。
基本方針
脳卒中センターにおいて特に強化する機能
(1)        
相双地区の医療復興の拠点となるべく、積極的に政策医療 (脳血管疾患及び救急医療)に取り組み、脳卒中死亡率を激減させる。
(2)        
相双地区市民に積極的に脳卒中啓蒙活動を行い、脳卒中発生率の低減に努める。
(3)        
住みなれた地域の中で安心して暮らせるよう、地域医療支援病院として他の医療機関と積極的に連携し、地域医療体制の充実を図る( 1)
(4)        
特に福島県立医科大学、東北大学から御支援を頂けるよう両大学との協力関係を深め、人的交流、医療相談、医療教育の連携を進める。
(5)        
災害拠点病院として災害時に被災者に対する救急治療スペースの確保、被災者受入れ機能に配慮 した施設の整備に努める。また、災害時に「救護所、避難所に出向き診療活動」を行う。
(6)        
経営の健全化・ 安定性を確立する。
( 1)相双医療圏の脳血管疾患救急医療構想



福島県南相馬市は6日、市立総合病院脳卒中センター建設工事(建築・設備一括)を一般競争入札した結果、43億3600万円(税別)で佐藤工業・庄司建設工業JVを落札候補者に決めた。事後審査を実施した上で落札者を正式決定する。…
 規模は、S造地上6階建て9158㎡。耐震構造を採用する。ベッド数は100床を想定。1階は救急部や外来室、2階はリハビリテーション室など、3階はリハビリ病棟、4階は脳神経外科病棟、5階は機械室、6階はヘリポートを設ける。…





震災で需要が増加、医療提供が追い付かない◆Vol.3
「東日本大震災から4年」病院見学ツアーに同行
2015315日 成相通子(m3.com編集部)
全国の看護師を集めて、福島県の浜通り地域の病院を見学するバスツアーの旅では、今年度初めて、昨年3年半ぶりに全線開通した国道6号を通り、「帰還困難区域」を通過した。帰還困難区域は、年間の放射線量50ミリシーベルトを超え、住民が長期にわたって帰宅できない区域で、バスガイドから事前に「窓を開けないように」とのお知らせがあった。バスの窓からは、朽ち果てた家々と道路わきに並ぶ除染廃棄物が入った黒い「フレコンバッグ」と呼ばれる袋が見えた。

「脳卒中センター」の設立
 相双地区は、もともとの医療者不足に加え、原発事故による看護師の避難が打撃を与えた。その一方で、受療率の高い高齢者人口の増加や、長期の避難所生活による脳梗塞、脳卒中の増加が指摘されており、医療の需給バランスの悪化に拍車がかかっている。


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