2015年9月9日水曜日

ビヨンド・ニュークリア【報道発表】米原子力規制委員会が原発周辺の小児白血病調査を取りやめに


Beyond Nuclear 原子力と核兵器のない世界のために 

命にかかわる研究が取りやめに――
米国NRCが核反応炉リスクの隠蔽を図る

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政府機関が核施設周辺における癌のリスクについて
子どもたちを無防備な状態に、国民をつんぼ桟敷に取り残そうと策謀
――核産業が巧みに動いて隠蔽を図り、命に関わる研究が取り止めに――

201598日、メリーランド州タコマ・パーク発】核発電施設にともなう、健康、安全、環境にまつわる危険を記録する米国の先導的なNGO、ビヨンド・ニュークリア(「核を超えて」)は本日、癌の発症例と死亡率、およびその米国の核施設との関連を調査する研究を取りやめるという、米国の原子力規制委員会による言語道断の決定を公的に非難しました。

「ヨーロッパでは、研究に次ぐ研究が操業中の核発電施設周辺における小児白血病の明白な増加を明らかにしておりますが、それなのに、原子力規制委員会(NRC)はこの命に関わる情報をアメリカ国民に隠すことに決定しました」と、ビヨンド・ニュークリアの放射線と健康の専門家、シンディ・フォーカースは述べました。この研究は2009年に着手され、全米科学アカデミー(NAS)の支援を受けて実施されてきており、すでに第1局面を完了し、コストが800万ドル(96200万円)と見積もられる研究事業として、全米7か所の試験的な核施設現場を調査していました。

「この研究の次の局面に付いた800万ドルの値札は、年間事業予算10億ドルの政府機関が手持ちのドロップ缶のなかの1粒にすぎません」と、フォーカースは付け加えた。NRCは研究を終了する言い訳に、「相当な時間と資金がかかり、当局の予算はいま緊迫している」と認定しました。

フォーカースは、NACの唐突なNAS支援研究取りやめ決定の背後に、予算の制約というより、実際には核産業の画策があると指摘しました。ビヨンド・ニュークリアが入手した公文書によれば、全米放射線防護測定委員会(NCRP)のジョン・ボイス会長がNRC職員らに接触し、NAS支援研究に替わる、より低コストで時間がかからないが、感度は低い研究手法を提案しましたが、NRCはまだNCRP提案を受け入れる決定にいたっていないことが明らかになっています。

フォーカースは、NAS支援の癌研究が科学的な品位を保って進められるように確認するために、ビヨンド・ニュークリア、その他の団体がおこなってきた6年間にわたる活動で指導的な役割を担ってきましたが、「NCRPは資金の一部を核産業から受けているだけでなく、意思決定権を握る幹部たちには、核推進勢力と強い繋がりがあります」と話しました。

フォーカースはつづけて、「ジョン・ボイスは健康調査資金を繰り返し業界から引き出しており、放射線被曝訴訟の申立人らに不利な証言をしています」といいました。フォーカースはまた、「市民は、そのような研究が達する結論を信頼することはまったくないでしょうし、またもや放射能被曝をめぐる国民の不安を葬ろうとするNRCの企てとして、その研究を理解するはずです」と付言しました。

研究取りやめの背後にあるものは、そのような研究が公表してきた、核発電所反応炉の通常運転を原因とする健康への悪影響を議論の余地なく示している証拠であると、フォーカースは断言しています。

英国の著名な放射線生物学者、イアン・フェアリー博士は昨年、英国、ドイツ、フランス、スイスの核施設の周辺で実施された癌調査のメタ分析を実施し、それらの国ぐににおける「ほぼすべての核発電所から5キロ(3マイル)圏内の子どもたちに、統計的に有意性の高い37%の増加が認められる」ことを突き止めています。
* [訳注]「分析の分析」を意味し,統計的分析のなされた複数の研究を収集し,いろいろな角度からそれらを統合したり比較したりする分析研究法。

フェアリー博士はNRCの決定に対して、「米国外の国ぐにで、核発電所近辺における白血病の増加を強く示す立派な証拠が山積みになっていることを考えると、これははなはだ遺憾であり、不可解なことです」と述べています。

NRCに対する核産業の影響力は、この政府機関が核産業そのものから資金の90%を受け入れていることを考えると、驚くほどのことではありません。しかし、公務をないがしろにし、米国の核施設における最低限の安全対策を中止する最近の動きは、気がかりな流れになっています。

ビヨンド・ニュークリアの反応炉監視部門長であり、NRC監視担当、ポール・ガンターはこう語りました――「核発電所周辺における癌調査に資金を拠出するのは、NRCが免許賦課金の形で集めてきた放射能関連ビジネスを遂行するのに妥当なコストです。NRCはそうする代わりに、国民の健康と安全を犠牲にして、新たなコスト削減策を核産業に与える決定をしたのです」。

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ビヨンド・ニュークリアは、原子力と核兵器の繋がりについて、またわたしたちの未来を守るためにその両者を放棄する必要性について、市民を教育し、活動していただくことを目的にしています。ビヨンド・ニュークリアは、維持可能で安全、民主的なエネルギーの未来を提唱しています。ビヨンド・ニュークリアは、核を超えた世界に向けて人類を動かすために決定的に必要な情報を、市民、政府職員、メディアに提供するために、多様な提携団体および連盟グループと協力して活動しています。

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【関連記事】

2015910日:カール・グロスマン――

米国の原子力規制委員会(NRC)は、米国が長年、放射線防護の基礎にしてきた「線形閾値なし」(LNT)説をお払い箱にして、「放射線ホルミシス」理論――低線量の放射線は体によいと考える説を代わりに採用しようと考えている。

この変更は「核推進の狂信者――としか言いようのない輩たち――の集団」によって後押しされていると、ワシントンDC近郊の団体、核情報資料サービス(NIRS*は非難している。

「ホルミシス・モデルが採用されると、必要のない死と病気を招く結果になるでしょう」と、NIRSのマイケル・マリオット代表はいう。核施設事業者は公衆の被曝線量を「合理的に達成可能な限り」削減しなければならないという、米国で現在採用されている要件は、「窓から投げ捨てられるでしょう。緊急計画ゾーンは大幅に縮小されるか、全面的に廃止されることになるでしょう。核事業者は放射能の放出を抑えるために金を使うのを余儀なくされなくなり、増収分を懐に入れるでしょう。おまけに、NRCがこの放射線モデルを採用すれば、環境保護庁(EPA)などの政府機関もやはりLNTモデルに準拠していますので、政府全体の放射線防護規則が混乱状態に突き落とされるでしょう」。


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